1970年代後半になり、日本の市場に登場してきた一般家庭で使う用途で商品化されたパーソナルコンピュータ。
1980年代になるとメーカー各社の新商品開発ラッシュはピークを迎え、大手家電メーカーのみならず、ホビーメーカーまで参戦してまさにパソコン戦国時代を迎えます。
1982年にはNEC、シャープ、富士通から主力となる「PC-8801」「X1」「FM-7」の3機種が登場し、御三家としてシェアを伸ばしていきます。
1984年
1984年になると御三家のパソコンの上位機種にあたる高性能マシンが登場します。
富士通からは「FM-77」、シャープからは「X1turbo」が登場。
このあたりのマシンから、外部記憶装置の標準はそれまで主流だったカセットデータレコーダではなく、フロッピーディスクドライブへと移行していきます。
PC-6001mkⅡSR
機種名:PC-6001mkⅡSR
メーカー:NEC
発売日:1984年11月月15日
価格:89,800円
CPU:μPD780C-1(Z80互換、動作周波数:3.58MHz)
※NEC「PC-6001mkⅡSR」カタログより
前モデル「PC-6001mkⅡ」の上位互換後継機にあたるが、同時発売された「PC-6601SR(Mr.PC)のフロッピーディスクドライブを省いた仕様と同等になる。
ただし、キーボード一体型の廉価版的位置付け。
FM音源を搭載し、「しゃべる」PCから「歌う」PCにパワーアップ。
2オクターブの音階で「歌う」ことも可能になった。
PC-6601SR
機種名:PC-6601SR
メーカー:NEC
発売日:1984年11月20日
価格:155,000円
CPU:μPD780C-1(Z80互換、動作周波数:3.58MHz)
※NEC「PC-6601SR」カタログより
「PC-6001mkⅡSR」発売の5日後に発売され、PC-6000番台シリーズの最上位機種にあたる「PC-6601SR」。
NECの8ビットパソコンは、代表型番 → mkⅡ → mkⅡSR と進化することが多いがこの商品だけは「mkⅡ」を飛ばして「SR」になった。
ゆえに型番は「PC6601SR」とシンプル。
また、NECの8ビットパソコンで「SR」とついている機種は全てFM音源搭載モデルとなる。
「PC-6601SR」はPC-6000番台のシリーズ中唯一キーボード分離型になる。
キーボードはケーブル接続もできるが、電池を入れれば赤外線ワイヤレスでの接続も可能になる。
愛称「Mr.PC(ミスターピーシー)」と名付けられ、キャッチフレーズは「六本木パソコン」。
3.5インチFDDを一基搭載し、PC-6000/6600シリーズの最高峰として登場した。
PC-9801M
機種名:PC-9801M2
メーカー:NEC
発売日:1984年11月
価格:415,000円
CPU:μPD8086-2(Intel8086互換、動作周波数:8MHz)
※NEC「PC-9801M」カタログより
前年に発売された「PC-9801F」から、シリーズに標準搭載となったFDDドライブ。
2DDの5インチドライブを容量の大きな2HDに変更し、それを2基搭載した機種が「PC-9801M」。
メモリも標準で256KB搭載し、ビジネスシーンでの活躍を想定してキャッチコピーは「ニュービジネスの象徴(ステイタス)」。
翌年1985年には、2HDの5インチFDDを一基搭載し、SASIのHDD(20MB)を内蔵した「PC-9801M3」が838,000円で発売された。
FM-NEW7
機種名:FM-NEW7
メーカー:富士通
発売日:1984年5月
価格:99,800円
CPU:MBL68B09、動作周波数:8MHz
※富士通「FM-NEW7」カタログより
2年前の1982年に発売された「FM-7」の後継機となる「FM-NEW7」。
スペック的に大きな変更はなく廉価版という位置付け。
FM-77
機種名:FM-77
メーカー:富士通
発売日:1984年5月10日
価格:FM-77D1、198,000円(FDD1基搭載)
FM-77D2、228,000円(FDD2基搭載)
CPU:MBL68B09、動作周波数:8MHz
※富士通「FM-77」カタログより
「FM-7」の後継機として、廉価版の「FM-NEW7」と同時発売された「FM-77」。
「FM-7」の上位互換機として、フロッピーディスクドライブと漢字ROMを標準装備して登場します。
サウンドはSSG音源3重和音8オクターブ。
広告のキャッチコピーは「いまや主流は3.5インチ」。
「FM-77」に搭載されたフロッピーディスクドライブは3.5インチでした。
当時「PC-8801」も「X1turbo」も「PC-9801」も、主要な人気パソコンはみな5インチを採用していたが富士通は3.5インチを選択した。
「FM-7」シリーズはキーボード一体型スタイルだったが、「FM-77」シリーズではキーボードを分離した。
「FM-7」の上位コンパチということで、人気ゲームタイトルがそのまま楽しめるためソフトウェア資産も豊富だった。
FDD1基搭載のD1が198,000円、FDD2基搭載のD2が228,000円、その差3万円ということは当時のFDDは1基3万円もしたことになる。
MZ-1500
機種名:MZ-1500
メーカー:シャープ
発売日:1984年6月1日
価格:89,800円
CPU:Z80A、動作周波数:3.579545MHz
※シャープ「MZ-1500」カタログより
「MZ-80K」の後継機として最後のパソコンとなった「MZ-1500」。
「MZ-700」の基本設計を踏襲し、グラフィックやサウンドといったホビー向けに必須の機能を強化して10万円を切る価格で登場。
外部記憶装置にコストの安いクイックディスクを採用した。
クイックディスクは記憶領域のランダムアクセスができない代わりに、シーケンシャルアクセスによりディスク片面の最大容量64KBを約8秒で読み込むことができる。
映像出力はデジタルRGBに加え、コンポジットビデオ出力やRF出力にも対応しており、家庭のテレビにつないでお手軽にシステム構成できた。
シャープがスポンサーをするテレビ番組「パソコンサンデー」にも度々登場した。
X1Cs/Ck
機種名:X1Cs(型番:CZ-803C)/Ck(型番:CZ-804C)
メーカー:シャープ
発売日:1984年7月
価格:X1Cs・・・119,800円、X1Ck・・・139,800円
CPU:Z80A、動作周波数:4MHz
※シャープ「X1シリーズ」カタログより
「X1」登場の1982年から2年後の1984年、X1シリーズの3、4番手として登場した2機種。
キーボード一体式のカセットデータレコーダ内蔵型スタイル。
「X1Cs」は、1983年に登場した「X1C」のプロッタプリンタ用スペースに拡張用I/Oポートを2基内蔵したもの。
「X1Ck」は、「X1Cs」に漢字ROMを標準搭載したもの。
「X1シリーズ」はFDDの標準化が遅く、翌年1985年に発売される「X1F」の上位モデルではじめて標準となる。
X1turbo
機種名:
X1turbo model10(型番:CZ-850C)
X1turbo model20(型番:CZ-851C)
X1turbo model30(型番:CZ-852C)
メーカー:シャープ
発売日:1984年10月
価格:
X1turbo model10・・・168,000円(データレコーダ内蔵)
X1turbo model20・・・248,000円(5インチ、2D、FDD×1基内蔵)
X1turbo model30・・・278,000円(5インチ、2D、FDD×2基内蔵)
CPU:Z80A、動作周波数:4MHz
※シャープ「X1turboシリーズ」カタログより
シャープの家庭向け人気パソコン「X1シリーズ」の新しいシリーズ、「X1turbo」シリーズ。
「X1シリーズ」の完全上位コンパチで1984年に登場する。
グラフィック機能としては640×400ドット/8色表示が可能になった。
そしてなんといっても「X1シリーズ」の豊富なゲームソフトがそのまま動くというのが大きかった。
この頃になると、ハードウェアが売れるにはソフトウェア資産がとても重要だったからだ。
そしてシャープは「X1turbo」シリーズの磁気記憶装置としてフロッピーディスクに5インチドライブを採用した。
また、「X1turbo」シリーズでは、漢字V-RAMの搭載により漢字をテキスト表示できるようになった。
S1
機種名:MB-S1
メーカー:日立
発売日:1984年5月
価格:
MB-S1/10、128,000円(1984年5月、基本モデル)
MB-S1/20、178,000円(1984年5月、第1水準漢字ROMカード搭載)
MB-S1/30、198,000円(1984年12月、1MB FDD1基搭載)
MB-S1/40、298,000円(1984年12月、1MB FDD2基、第1水準漢字ROMカード搭載)
CPU:HD68B09E、動作周波数:2MHz
※日立「S1」カタログより
国内初の家庭用8ビットパーソナルコンピュータとして1978年に登場した日立「ベーシックマスター」。
「ベーシックマスター」は、家庭向けパソコン黎明期に、シャープ「MZ-80K」、NEC「PC-8001」とともに御三家と呼ばれていた。
しかしNEC「PC-8801」、シャープ「X1」、富士通「FM-7」の登場で御三家の入れ替わりがあり、すっかり影が薄くなってしまった感がある。
1980年には互換性を棄て、基本設計を変えた「ベーシックマスターレベル3」を登場させるも巻き返すまでには至らなかった。
そんな「ベーシックマスター」シリーズの最終機種となったのが1984年に登場したこの「S1」。
前身となる「ベーシックマスターレベル3」からは大幅に機能を強化。
Z80系CPUがバンク切り替え機能を使わなければ64KBまでしかメモリアクセスできないところ、独自のメモリーコントローラーを搭載することにより1Mバイトのアドレス空間を実現。
また、ベーシックマスターのソフトウェア資産を生かすため、レベル3互換モードもあった。
SMC-777C
機種名:SMC-777C
メーカー:ソニー
発売日:1984年
価格:168,000円
CPU:Z80A(動作周波数:4.028MHz)
※ソニー「SMC-777C」カタログより
ソニーが1983年に発売した「SMC-70」の後継機「SMC-777」。
カラーパレットという機能をオプションとしていたがそれを標準搭載したのがこの「SMC-777C」。
カラーパレットとは、4,096色中の16色を選んで表示させることができる機能。
SMCシリーズのCPUクロックは4.028MHzと中途半端な数字だが、これは映像信号と共通のクロック周波数となる。
SMCシリーズは放送関連事業が強かったソニーが、デジタルテロッパー(文字や画像を映像に重ねる装置)などとして放送局や製作会社などに納入していた。
ソニーは、1983年にMSX規格のパソコン「HB-55」を発売、1987年にはMSX2規格のパソコン「HB-F1XD」を発売している。
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