【ハイドライド】ジャンルを確立した名作アクションRPG

懐かしのPCゲーム

「ハイドライド」は1984年にT&Eソフトから発売されたアクション(アクティブ)ロールプレイングゲーム。

当時家庭用に普及していた8ビットパソコンに次々と移植され、パソコン版で100万本、家庭用ゲーム機版で100万本、トータルで200万本以上を売り上げ超人気作品となりました。

当時の雑誌では「アクティブロールプレイング」と紹介している記事もありましたが、ゲームジャンルとしては「アクションロールプレイング」。

日本ファルコムの「ドラゴンスレイヤー」シリーズ、T&Eソフトの「ハイドライド」シリーズというふたつの作品で「アクションロールプレイング」というジャンルを確立したゲーム史に残る代表作ともいえます。

なお、「ドラゴンスレイヤー」シリーズというとピンとこないかもしれないが、日本ファルコムの代名詞でもあり不朽の名作でもある「ザナドゥ」のことです。

「ハイドライド」の記念すべき第1弾は1984年12月13日に発売されたPC-8801シリーズ版、その後長年に渡って数多くの機種に移植されていきました。

それまでのロールプレイングゲームといえばウィザードリィやウルティマ・ブラックオニキスなど、ゲームシステムが複雑でゲーム開始までに面倒な設定が必要なものばかり。

それらに比べ「ハイドライド」はパーケージを購入してゲームを立ち上げるとアクションゲームのようにそのまま遊び始めることができるほど簡単で、ゲーム初心者にも受け入れられやすかったのだと思います。

それまで一部のマニア向けだった「ロールプレイングゲーム」というジャンルの作品を、初心者にも始めやすくしてユーザーを取り込むことに成功したT&Eソフトの代表作ではないかと思います。

ストーリー

この伝説は今私たちが住んでいる世界とはまったく別の空間での物語です。
ここは妖精の住む王国フェアリーランド。
そこは王様の住んでいる宮殿を中心に広がっている緑の美しい平和な王国でした。
この宮殿には三種類の不思議な宝石がまつられており、その宝石によって王国の平和は保たれていたのです。
人間と妖精たちはこの世界でお互いに共存し助け合いながら仲良く暮らしていました。
ところがある日、悪心を起こした人間によって宝石の一つが盗まれてしまったのです。
数が足りなくなってしまった宝石はその輝きが鈍くなってしまい、ついに宝石によって封印されていた神話伝説最強といわれる悪魔バラリスが目覚めてしまったのです。
バラリスの魔力によって残りの宝石もいずこかへと飛ばされてしまい、平和であったフェアリーランドも崩壊してしまいました。
王国のプリンセス、アンもバラリスの魔力によって妖精にされていなくなってしまいました。
王国を崩壊させたバラリスは、国のあちこちに怪物を放ち、人々の心を恐怖と絶望が支配したのです。
そこへひとりの勇敢な若者が王国の復興を願って立ち上がりました。
彼の名はジム。
ジムは人々の希望を一身に背負い、たったひとりで怪物に挑戦していったのです。

操作方法

このゲームの目的は、勇敢な若者ジムを操作して失われた宝石を取り戻し、悪魔バラリスを倒してフェリーランドの平和を取り戻すことにあります。

プレイヤーは攻撃モードと防御モードを切り替えながらジムをモンスターに体当たりさせて戦います。

ジムの移動およびモンスターへのアタックはキーボードのテンキーまたはJOYSTICKでの4方向操作(PC-8801版ではJOYSTICK未対応)。

攻撃モードと防御モードの切替はスペースキーまたはJOYSTICKのボタン操作で行い、宝箱を開けるのも謎解きなども移動操作のみという、とてもシンプルなアクションでできるようになっています。

モンスターを倒せは経験値が手に入り、経験値を溜めることでジムはレベルアップしてより強くなっていきます。

またジムが傷ついてLIFEゲージが減ってしまったときは、平地などで休ませることで自動的に体力が回復する仕組みとなっていますので、アイテムショップでポーションを購入したりする必要はありません。

そもそもお金という概念そのものが無いゲームなのでした。

オリジナル版及び移植版

ハイドライド
ジャンル:アクション(アクティブ)ロールプレイングゲーム

【PC-8801版】

ハイドライドのオリジナルはNECのPC-8801版として1984年12月13日に発売されました。
画面はスクロールしない切り替え式、音源はBEEP音のみでとてもチープでした。

【X1/turbo版】

移植版の第1作目としてX1シリーズ版が1985年1月に発売されます。移植版とはいえオリジナルの登場から1ヵ月後の登場なのでほぼ同時発売。
X1シリーズはPC版としては唯一背景がスクロールする仕様となっていました。このスクロールはX1の持つPCG(プログラマブルキャラクタジェネレータ)機能により実現しています。
また、サウンドもPSGによりBEEP音のPC-8801版とは違うものとなっており、このBGMはその後の移植版に継承されていきます。
X1シリーズ版ではスクロール機能を実装した代わりに、ドラゴン・オクトパス・ゴブリンが登場しないが代わりにウィスプが登場しました。
スクロール機能のおかげで画面切替による敵回避ができないのでフィールドの敵が多くなる後半では逃げ回るのがとても困難で難易度は高めでした。

【PC-6001mkⅡ版】

1985年3月8日発売。

【MSX版】

1985年3月カセットテープ版、1985年11月ROMカセット版発売。
ハードウェア機能の制約によりキャラクタは単色、また、ATTACKモードはスペースキーを押している間のみ有効など、操作性で若干の違いがありました。
ROMカセットはセーブ機能が使えないためコンティニューはコード入力になっています。

これらの他にMSX2版、FM-7版、PC-9801版、MZ-2000/2200/2500版など当時の主要な8ビットパソコンで発売されました。ハイドライドというゲームの人気がどれほどのものだったかがわかります。

登場キャラクタ

【JIM-ジム(主人公)】

王国の復興を願ってひとりで怪物退治に立ち上がった勇敢な若者。

【SLIME-スライム】

フェアリーランドの草原の中をウニョウニョと動き回っているザコキャラ。

【KOBOLD-コボルド】

森の中にいる醜い妖精。森からは出てこない。

【WASP-ワスプ】

木を押し続けていると飛び出してくる毒バチ。

【STIAGE-スタージ】

迷宮の中にいる吸血コウモリ。

【ROPER-ローパー】

迷宮の中にいるタコのようなモンスター。

【ZOMBIE-ゾンビ】

墓場にいるゾンビ。ゾンビだが不死身ではないので剣で倒せる。

【WISP-ウィスプ】

迷宮の中を飛んでいる火の玉。暗闇では逃げ切れないのでランプを見つけてから攻略しよう。

【LADYAM-レディーアーマー】

迷宮の中にいる戦士。あるアイテムを持っている。

【GOLDAM-ゴールドアーマー】

迷宮の中にいる戦士。

【WIZARD-ウィザード】

火の玉の呪文で攻撃してくる魔法使い。3人目の妖精を見つけるためにとても重要な存在。

【VAMPIRE-ヴァンパイア】

教会の迷宮にいる吸血鬼。あるアイテムがないと倒すことができない。

【SCOPION-スコーピオン】

砂漠にいる巨大なサソリ。

【ELL-イール】

水の中にいる大ウナギ。

【BLACKAM-ブラックアーマー】

バラリスのいる迷宮にいる兵士。

【SKELET-スケルト】

バラリスのいる迷宮内にいる骨の戦士。

【VARALYS-バラリス】

フェアリーランドを崩壊させた悪魔、このバラリスを倒すのがこのゲームの目的。

3つの宝石と3人の妖精を全て揃えてからでないとバラリスを倒すことはできない。

画像はX1シリーズ版だがX1版のバラリスは拍子抜けするほど弱い。(笑)

【FAIRIES-フェアリーズ(妖精)】

アン女王が悪魔バラリスによって変身させられ、妖精の姿になってフィールドのどこかに隠れている。

アイテム

左端から順に、

【勇者の剣】

迷宮内の宝箱の中にあり、この剣でジムの攻撃力が上がる。

【正義の楯】

迷宮内のモンスターが持っている、この楯でジムの防御力が上がる。

【魔法のツボ】

このアイテムがあると見えなかったものが見えるようになる。

【永遠のランプ】

このアイテムを持っていると迷宮内を明るく照らすことができるようになる。

【十字架】

十字架に弱いモンスターといえば。

【不死の薬】

この薬を持っているとジムが生き返ることができる。ただし効果は一度だけ。

【秘密の鍵】

このアイテムで鍵付きの宝箱を開けられるようになる。

【イエローストーン】

黄色い宝石。バラリスを倒すのに絶対必要。

【ブルーストーン】

青い宝石。バラリスを倒すのに絶対必要だが、ゴールドアーマーの謎を解かなければ入手できない。

【レッドストーン】

赤い宝石。バラリスを倒すのに絶対必要だが、3人の妖精を見つけなければ入手できない。

ゲームの進め方

ハイドライドは決して難しいゲームではないのでしっかりと経験値を稼ぎ、ポイントでセーブをしながらアイテムや妖精を見つけていけばクリアできます。

ただ、上手に進めると短時間でクリアできるのでそのルートを大雑把に説明します。(他にもっと最短ルートがあるかもしれません)

・スライムとコボルドを相手に経験値稼ぎしてLIFEの上限値を上げる
・草原で1人目の妖精を見つける(妖精を見つけるには草原にあるものを押す)
・ローパーのいる迷宮の左の森の中にある宝箱から吸血鬼の苦手なアイテムをゲット
・教会の迷宮に行ってバンパイアをやっつける
・教会の迷宮内にある宝箱を見つけて暗闇を明るくするアイテムをゲット
・ローパーの迷宮に行って魔人が飛び出してきそうなアイテムをゲット
・ローパーの迷宮の上にある川端の迷宮の中でレディーアーマーを倒して防具をゲット
・教会の上にある迷宮の宝箱から武器をゲット
・迷宮の別の出口から外に出て、砂漠を抜けて右側の草原で2人目の妖精を見つける
・砂漠の右下の森の中にある迷宮で宝箱から閉まっているものを開けるアイテムをゲット
・途中で開かなかった宝箱を開けて中のアイテムをゲット
・砂漠の下の迷宮の入り口から水路へ入り魔法使いの島へ上陸
・魔法使いを倒して3人目の妖精を見つける(〇〇の〇〇を〇回受けてから〇〇を倒す)
・バラリスのいる城に入って水路の水を抜く仕掛けを動かす
・水路に出て最後の宝石と蘇生アイテムをゲット
・バラリスの城に入ってバラリスを倒す

このように進めることでゲームは1日1時間という鉄板のルールを守りながらでも途中でセーブしながら数日で解くことができるはずです。

攻略法

「ハイドライド」はそれまでキーボードから複雑なコマンドを入力しなければ進められなかった「ロールプレイングゲーム」を初心者にも簡単にプレイできるようアレンジし、アクション(アクティブ)ロールプレイングという新ジャンルを確立した偉大なゲームです。

パソコンの電源を入れてソフトウェアのディスク(当時のメディアはフロッピーディスクかカセットテープ)をセットしてゲームが立ち上がればそのままスタートです。

キャラクタの名前を入力する必要もなければ複雑なパラメータの割り振りもない、装備やアイテムを揃える必要もないとてもシンプルなゲームシステム。

ゲームはいきなり草原からはじまります。まずはここでザコキャラのスライムとコボルドを相手に経験値を稼いでLIFEの上限値を上げておきます。

攻撃モードと防御モードがあるので敵キャラにアタックするときは攻撃モード、体力回復するときは防御モードに切り替えます。

動き回るのを止めて停止すると体力が回復していきますので、たくさんダメージを受けてしまったら回復の早い草原に停止して体力回復に努めます。

ハイドライドでよく使われるのが「半身ズラし」。障害物に体半分を引っ掛けてその場に停止し、アタックモードで敵が来るのを待ちます。

これで敵からダメージを受ける前に攻撃できる、HPの少ない敵ならばノーダメージで倒せます。

迷宮の地形をうまく利用して敵キャラを待ち構えてタイミングを合わせてサイドからアタックすれば強敵でもノーダメージで倒せます。

また、移動が画面切り替え式なのでピンチの時は隣のマップに逃げ込めば強敵から逃れることができます。

※X1シリーズ版はスクロールするので逃げられません

謎解きの答えさえわかっていれば1日もかけずにクリアすることが可能だった「ハイドライド」。

しかし謎解きの理不尽な難易度もあり、アクションゲームが苦手な人にとってはエンディングをみることが難しかったのではないでしょうか。

家庭用パソコンというプラットフォームながら、約2年に渡り人気ゲームの上位にランクインしていたところからも、当時のゲーマーから高い支持を得ていた事がわかります。

「ハイドライド」は「ザナドゥ」とともに「アクションロールプレイング」というジャンルを確立した名作と言えるのではないでしょうか。

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