「フロントライン」はタイトーが1983年に稼働させたアーケードゲーム。
ジョイスティックにダイヤルスイッチを採用した縦スクロール型の戦場シューティングゲームです。
ダイヤルスイッチはジョイスティックと別にショットの方向を操作することができる回転式のスイッチ。アーケード版フロントラインではこのスイッチによりプレイヤーの進行方向とは違う方向に向けて攻撃することができたのです。
しかし、アーケード版以外のフロントラインではハードウェアが対応していないためにダイヤルスイッチを使うことができず、やむなくプレイヤーの向いている方向にのみ攻撃ができる仕様になっており、アーケード版とはやや違う操作感のゲームになっていました。
アーケード版フロントラインの基板はメインCPUに8ビットCPUのZ80を採用しており、クロック周波数も4MHzと当時の家庭用8ビットパソコンと比較してもそれほど高性能なわけではありませんでしたが、それでもゲーム会社が専用に開発したハードウェア上で稼働するゲーム、スピード感も躍動感も全く別物でした。
PC移植版フロントライン
フロントラインは移植が容易だったためかアーケード版が登場した1983年当初から家庭用8ビットPCへの移植版が発売されていきます。
1983年8月には富士通のFM-7版が登場、翌月の9月にはNECのPC-8801版が発売され、その後シャープのMZ-1500版とX1シリーズ版が次々と登場しました。
しかし、ハードウェアの制約があるため、PC移植版ではプレイヤーの向いている方向へのショット、しかも銃撃と手榴弾同時に自動で撃ち続けるという不便極まりない仕様となりました。
PC移植版の開発元はいずれもキャリーラボ、販売はニデコム。MSX版だけは本家のタイトーが直々に行っています。
※X1シリーズ版フロントライン
※MSX版フロントライン
登場キャラクター(X1版)
【プレイヤー】
敵がひしめく戦場をひとりで駆け抜ける勇敢な兵士。なぜか青い軍服でとにかく目立つのだ。
【味方戦車】
戦場に放置してありプレイヤーが乗車できる戦車。
被弾すると動かなくなるがすぐに降りればミスにならずに生き残れる。被弾して降りると戦車はなぜか復活する。
戦車は砲弾で攻撃できる。
【味方装甲車】
戦場に放置してありプレイヤーが乗車できる装甲車。戦車よりもひとまわり小さい。
被弾すると動かなくなるがすぐに降りればミスにならずに生き残れる。
装甲車は機銃で攻撃できる。
【敵兵士】
たった一人のプレイヤーをひたすら追いかけて拳銃と手榴弾で攻撃してくる。
ランボーに勇敢に立ち向かって散ってゆく敵ザコキャラ的な存在。
【敵戦車/装甲車】
砲塔で応戦してくる。手榴弾または車両の砲塔火器でしか倒せない。性能は主人公と同等だが、被弾しても敵兵は車両を降りずに愛車と運命を共にする。
【司令部】
砲弾を放つ固定砲台で応戦してくる。手榴弾でしか倒せない。倒すと敵司令官が白旗を掲げて一面クリアとなる。
【地雷】
地雷なので踏むと爆発する。撃てば銃撃でも手榴弾でも爆発する。爆発で空いた穴の上ではプレイヤーの動きが鈍る。
操作方法
フロントラインは縦スクロール型の戦場シューティングゲーム。プレイヤーは青い軍服を着た主人公をジョイスティックで8方向に移動させ、銃撃と手榴弾で敵をやっつけながらステージクリアを目指します。
たったひとりでこんなにたくさんの敵がいる戦場を突き進むなんて、ランボーのスタローンか、コマンドーのシュワちゃんか、はたまた強靭な肉体と精神力を持ったスティーブンセガールかブルースウィリスくらいにしか、現実にはできない設定かと思いますが。(誰にもできんだろう)とにかく戦場を拳銃と手榴弾のみで駆け回ります。
それにしてもこのゲーム、設定はランボーみたいでかっこいいんだけど走り方がとてつもなくかっこ悪い。
とにかくかっこ悪い。
こんな酔っ払いのスキップみたいな走り方で戦場ウロウロしてたらアイツどんくさいって間違いなく狙い撃ちされるでしょ。(笑)
ゲームはステージクリアを目指します。
操作方法は画面のとおり、リターンキーを押すとゲームスタート、テンキーでプレイヤーを移動してZキーで車両への乗り降り、攻撃は全自動なので残念ながら銃撃も手榴弾攻撃も自分の意志では制御できません。
まずは歩兵しかいないゾーンを敵弾を避けながら、敵手榴弾を避けながら、地雷を踏まないように気を付けつつひたすら進みます。
拳銃で撃つと地雷が爆発するのは謎ですが、地雷は敵を巻き込むこともできるので上手に利用して進みます。
序盤の歩兵ゾーンを抜けると、装甲車と戦車が放置されているので乗車して使えます。なんで戦場に味方戦車が乗り捨ててあるのかは謎ですがとにかく青い車両を見つけたら乗って利用しましょう。攻撃力が増します。
乗っている車両が被弾してもすぐに降りればミスにはなりませんので被弾したらサッサと降りて別の車両を目指しましょう。
被弾した車両にいつまでも留まっていると爆発してミスになってしまいます。
ミスの条件は、拳銃・手榴弾・機銃・砲弾などの敵弾に当たる、地雷を踏む、敵車両に轢かれる、撃破された戦車や爆破した地雷の爆発に巻き込まれる、など、アーケード版ではあった自分の投げた手榴弾に巻き込まれることは手榴弾の軌道が違うのでPC版ではなさそうです。
武器の拳銃は兵士に対してのみ有効で射程が短い。手榴弾はすべての敵に有効。PC移植版では拳銃と手榴弾を同時に発射しているのでどちらがどの敵に有効ということはあまり関係なさそうですが。
戦車と装甲車は戦場に放置してあるのでZキーで乗り込める。戦車は砲弾、装甲車は機関銃弾を発射することができるので乗ると攻撃力がアップします。
地雷を踏んだり手榴弾や砲弾を受けるとダメージを喰らい、一定時間経つかもう一撃食らうと誘爆してミスとなるため、被弾したら速やかに車両を降りて生き残りましょう。
ステージ終盤に敵司令部があり、固定砲台から砲弾を撃ち応戦してきます。
司令部は手榴弾でしか倒せないので司令部まで来たら戦車や装甲車を降りて司令部を攻撃します。
司令部を倒すと敵司令官が白旗を掲げて一面クリアとなります。
タイトーといえばアーケードマシン黎明期のブロック崩しやスペースインベーダーを世に広め、その後の喫茶店にテーブル筐体を広めた日本のアーケードゲームの草分け的存在。
そのタイトーをもってしても初期のアーケードゲームはこのレベルのセンスなのか、と今となっては思ってしまいますがそれでも当時はいわゆるクソゲーではなかったんです。
今思えば黎明期のゲームがどれほど大衆に受け入れられやすかったのかと思いますね。
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