1981年に発売された家庭用ゲーム機
家庭用ゲーム機といえば真っ先に思い浮かべるのが任天堂の「ファミリーコンピュータ」ではないでしょうか。
通称で「ファミコン」と呼ばれるこのゲーム機が発売されたのは1983年のこと。
「ファミコン」の登場により一気に一般家庭にもゲーム機が普及しましたが、それ以前はゲーム機がある家庭というのはあまり一般的ではありませんでした。
それでも「ファミコン」以前にコンシューマ向けとして発売されたゲーム機がいくつかあります。
カセットビジョン
メーカー:エポック社
発売日:1981年7月30日
価格:13,500円
販売台数:40~45万台
代表作品:きこりの与作、ギャラクシアン
ソフト媒体:ワンチップマイコンカートリッジ
CPU:D777C※ソフト側に搭載
同時発色数:8色
ファミコンが登場する前、最も売れていた家庭用ゲーム機。
本体の構造
本体の中央奥にゲームカートリッジを挿すカートリッジスロット。
左右には回転型するダイヤル式コントローラが4つ。主にスポーツゲームで使用されていた。
中央部には電源ボタンと「START」「SELECT」のメニュー操作ボタンが。
手間には両サイドにレバー型のスイッチがふたつ。これは2方向のジョイスティックでキャラクタの左右移動に使われていました。
内側には押しボタンが4つあり、ジャンプやショットなどのアクションに。パクパクモンスターでは上下左右の移動に割り当てられていました。
そして中央にコーススイッチ。これはベースボールでピッチャーの投球コースを設定するのに使われました。
カートリッジスロットと巨大なコントローラといった構成の本体です。
どんなゲーム機だったのか
「カセットビジョン」はカートリッジ交換式のゲーム機だが、カートリッジの中身はゲームソフトのロムカセットではなくワンチップマイコン。
エポック社はこれ以前にも家庭用ゲーム機を出していたが、この「カセットビジョン」が初のカートリッジ交換式となる。
エポック社からはそれまでに「テレビベーダー」や「テレビ野球ゲーム」などの1種類のゲームしか遊べない専用機が発売されていた。
「カセットビジョン」の構造は、このあとに発売される「ファミコン」などのゲーム機とは少し異なる。
実はカセットビジョン本体にはゲーム機の頭脳である「CPU」が搭載されていない。
カセット側に「LSIチップ」が搭載されており、ゲーム画面の処理はカセット側で実行される。
ファミコン以降はカセットにはROMが搭載され、ROMにはプログラムが書き込まれている。
そして本体側からROMの中身を読み出しながらゲームを実行する形が一般的となった。
カセットビジョンの構成はコスト的に不利に見える。
しかし、それでもゲームカセットの価格は4,980円に設定されていた。
※エレベーターパニックのみ3,980円だった
ゲームセンターで人気のあのゲーム(に似たゲーム)が家庭で楽しめると納入に踏み切った人も多かったでしょう。
1983年7月19日に登場した廉価版の「カセットビジョンJr」はなんと本体価格5,000円で販売された。
後継機として1984年に「スーパーカセットビジョン」が発売される。
カセットビジョンJr
コントローラを省いたことでいくつかのゲームはできないが本体価格5,000円という低価格を実現したカセットビジョンの廉価版。
1983年7月に発売されました。
レバーを大きくしたりボタン配置をわかりやすくしてゲームの操作性は向上しています。
発売された主なゲーム
ゲームカートリッジにワンチップLSIが搭載されたカセットビジョンのゲームソフトたち。
大ヒットした「きこりの与作」から始まって全部で11種類のゲームカセットが発売されました。
・きこりの与作
カセットビジョンと同時発売のカセットビジョン第1弾ゲーム。
アーケードで人気のあった新日本企画(後のSNK)「与作」の移植作品。
2方向レバーで与作を操作してオノを振って木を倒すのが目的。
空中からは木の枝と鳥の糞。地上からはヘビとイノシシが襲ってくる。
・ベースボール
これも本体と同時発売のソフト。
野球盤をでゲーム化したようなシンプルなベースボールゲーム。
エポック社から1978年に発売された「テレビ野球ゲーム(専用機)」のカートリッジ化。
本体中央手前のコースコントローラで左右5種類の球種を選んで投球します。
ジョイスティックレバーでバットを振り、タイミングを合わせてボールを打ちます。
・ギャラクシアン
アーケードで大ヒットしたナムコのスペースシューティングゲームの移植版。
移植とはいえハードウェアの制約が大きすぎるため雰囲気だけスペースシューティングになってます。
2方向ジョイスティックレバーで自機を左右に操作。
ショットボタンでビームを連射してギャラクシアンを撃ち落とします。
・バトルベーダー
もう解説する必要などないと思いますがアーケードゲームで世界的大ヒットした「インベーダーゲーム」の移植作。
画面サイズの都合でキャラクタの数が大幅に少なくなっていますが雰囲気は味わえます。
ちなみにこのゲーム、1980年にエポック社から発売された「テレビベーダー」と全く同じものです。
それでもカセットを買えば与作もできるしギャラクシアンもできる。
そしてあの「インベーダーゲーム」が喫茶店に行かなくても自宅で遊べる。
そういう理由でカセットビジョンを買った人もいるはず。
・アストロコマンド
1983年8月に「カセットビジョン」の廉価版「カセットビジョンJr」と同時に発売されたこのゲーム。
カセットビジョン初の横スクロールシューティングです。
自機が障害物に当たるかエネルギーメータがゼロになると墜落してミスになります。
カセットビジョンには上下移動を操作できるスティックがない。
そのため自機の上下動作は左右レバーで操作するので慣れるまで違和感。
4方向ジョイスティックがあればカセットビジョンにもっと多くのソフトが作られたのではないかと思いますが。
・パクパクモンスター
アーケードゲームで大ヒットしたナムコの「パックマン」の移植作。
画面に登場できるキャラクタの数に制約があるのでドットの粗い雰囲気パックマン。
一度通過するだけでエサがなくなってしまうとゲームがすぐに終わってしまうので何度か通過することでエサが食べられます。
だからパックマンではなくパクパクマンなのかも。
・モンスターマンション
モンスターのうろつくマンションを、主人公を操って最上階へと逃げるアクションゲーム。
主人公の操作は左右レバーとジャンプと階段を下りるボタン。
ステージにはクリア条件があり、クリアすると最上階への階段が現れる。
最後に最上階への階段が出てくるゲームといえばロードランナーを思い浮かべます。
ちなみにモンスターマンションは1982年10月発売、ロードランナーは1983年に登場しています。
・ビッグスポーツ12
1981年10月に発売されたテニスゲーム。
最大で同時に4人まで遊ぶことができる。
別売りの銃を使えば射撃ゲームも楽しめるバラエティゲームなのだ。
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