「イー・アル・カンフー (Yie Ar Kung-Fu)」は、1985年にコナミから発売されたアーケード用格闘ゲーム。
当時はまだ格闘ゲームというジャンルが確立されておらず、そういう意味では元祖格闘ゲームともいえるこのゲーム。
しかし当時のゲームセンターでは人と対戦するゲームというのはまだあまり無く、二人プレイでも対戦するのはコンピュータ。
コンピュータとの対戦を交互にプレイしていきます。
カンフーがテーマのこの格闘ゲーム、BGMも独特で特徴的な中華風、ゲームセンターのデモで鳴り響くととても興味を引くものでした。
1973年にブルース・リー主演の「燃えよドラゴン」がスクリーンに登場してカンフーブームが巻き起こりました。
1979年にはジャッキー・チェン主演の「蛇拳」や「酔拳」が登場してカンフーブームが再来。
このゲームが発売された1980年代中盤はジャッキー・チェンの人気が最高潮で1984年に「プロジェクトA」「スパルタンX」、1985年には「ポリス・ストーリー」が公開されまさにカンフーブームの真っ最中だったと思います。
そんな背景もあり1985年に登場した「イー・アル・カンフー」、このあと数多く発売されてくる格闘ゲームの元祖となるのでした。
ゲーム概要
プレイヤーはスティック操作とボタンで主人公「ウーロン(Oolong)」を操って、立ちはだかる格闘家と戦っていく。
敵キャラは全部で11人。キャラクタごとに武器や戦法が異なるが武術の基本はカンフー。
レバーを入れる方向とパンチ、蹴りボタンの組み合わせによって攻撃方法が変わる。
8方向レバーとパンチ・蹴りの合わせて16種類の攻撃が可能となる。
主人公ウーロンは上方向(上、右上、左上)にレバーを長押しするとその方向にジャンプすることもできる。
敵キャラクター
アーケード版「イー・アル・カンフー」に登場する敵キャラは登場順に
【Buchu(ブチュ)】
白パンツ上半身裸の大男で、当時人気のあったプロレスラーのブッチャーを思い出させる敵。
体が大きく動きが遅いので比較的容易に倒せる。武器は使わない。
飛び跳ねながらフライングボディアタックを仕掛けてくる。
敵を倒してステージクリアすると次の対戦相手が登場する。
[?]のところもステージに到達するとオープンになる。
【Star(スター)】
ピンク色のカンフーウェアを着た少女で髪を左右に束ねている。
武器は手裏剣。
距離をとって手裏剣を投げてくる。
近付くと素早いパンチやキックで攻撃してくる。
手裏剣にはタイミングよく攻撃を当てるとダメージにならない。
【Nuncha(ヌンチャ)】
武器にヌンチャクを持つ黄色い道着を着たヌンチャク使い。
開始と同時にヌンチャクを振ってアクションするが、終わってポーズをとっている間が無防備。
【Pole(ポール)】
長い棒を振り回す棒術使いで、頭上で棒を振り回しながら攻撃してくる。
武器の棒は間合いが長いので中段の攻撃は注意が必要だ。
ポールを倒すとこの画面最後の敵。
次はボーナスステージ的な雰囲気がある。
【Feedle(フィードル)】
分身の術を使い左右から次々と現れる。
あまり攻撃してこないので間合いを見て攻撃すると簡単にダメージを与えられる。
攻撃が一発当たると画面外へと飛んでいく。
【Chain(チェイン)】
鉤の付いた鎖を武器にして攻撃してくる。
鎖は飛距離があり射程が長いので上段と下段の攻撃には注意が必要。
ウーロンが近づくとキックも繰り出す。
【Club(クラブ)】
武器は棍棒、防具は盾。
上段や中段への攻撃は右腕の盾を使って防いでくる。
足元への攻撃が有効である。
【Fan(ファン)】
チャイナドレスを身に付けた女性。
武器は鉄製の扇で投げられるとくるりと舞いながら飛んでくる。
扇いくつ持ってるの?
正面にいると扇の餌食になるのでジャンプして飛び込んで攻撃するのが有効。
【Sword(ソード)】
武器は中国刀。
なぜか黒い頭巾を被っている。
刀の射程が長いので注意が必要だが、姿勢を下げ足を広げて攻撃してくるので伸ばした足への攻撃がよく当たる。
【Tonfun(トンフン)】
武器はトンファー。
武器を持っているうえに動きが素早いので強敵。
上中下段すべてに警戒が必要。
ジャンプで相手の懐に飛び込み、素早く攻撃するとよく当たる。
トンフンを倒すといよいよ最後の敵。
【Blues(ブルース)】
武器は持たないが動きが速い最強の敵。
名前はブルースだが見た目はジャッキー。
動きが速く、油断すると何発も連続で攻撃を喰らうのでそれだけは避けたい。
そしてブルースを倒すとまた最初の敵に戻る。
ただし2周目の敵は手強くなる。
MSX版イーアルカンフー
アーケード版の発売とほぼ同時期に発売されたMSX版イーアルカンフー。
敵キャラはアーケード版の11人よりも少ない5人。
攻撃パターンも操作ボタンがひとつなので5種類しかない。
MSX版イー・アル・カンフー登場キャラクタ
アーケード版では
「カンフーの達人だった父の無念を晴らすために格闘大会「王座杯」で優勝を目指す」
という設定でしたが。
MSX版では
「中国全土で悪行を重ねるチャーハン一族を倒すために「メンマの塔」へ乗り込む」
という設定に。
そのため、登場キャラクタはチャーハン一族の悪党どもとなっています。
【Wang(ワン/王)】
アーケード版のポールのような棒術使い
ポールと違い、棒は振り回さず縦に持ち構えている。
【Tao(タオ/桃)】
火炎術師のタオ。
武器は持たない主義だが火の玉を吹いてくる。
【Chen(チン/陳)】
アーケード版のチェーンとほぼ同じ動きで鎖がまを武器にする。
カンフー格闘家というより悪役レスラーのような敵。
【Lang(ラン/藍)】
アーケード版のスターとそっくりなキャラクタで手裏剣で攻撃してくる。
サルの着ぐるみを着ているようにも見えてしまうところが残念である。
大きく手足を広げて攻撃してくる。
【Wu/Mu(ウー/呉)】
アーケード版のブチュと同じような動きをしてくる。
武器は持たず素手で攻撃してくるが、飛んで頭から突撃してきます。
ウーを倒すとまたワンから登場して以後繰り返しとなる。
キャラクタが少ないので途中でアーケード版にはないボーナスステージが用意されている。
ボーナスステージでは画面の左右から飛んでくる剣や扇を破壊する。
ファミコン版イーアルカンフー
ファミコン版イーアルカンフーはMSX版とアーケード版の発売から少し後、1985年4月22日の発売となりました。
ファミコン版はMSX版の移植で登場するキャラクタは5人。
MSXと違いふたつボタンが使えるのでパンチとキックは別です。
さすがにゲーム機だけあってキャラクタの動きはスムーズ。
敵キャラの動きが速すぎてワープしたの??ってことさえあります。(笑)
基本的にはMSX版の移植なのでボーナスステージもあり。
MSX版ではキャラクタが少しばかりおデブちゃんばかりだったのが。
ファミコン版ではスマートになり。
特にこのランなんかは別人のようにかわいくなっています。(ドット絵ですが)
倒すとアーケード版のようにセクシーにヘタリます。
ちなみにアーケード版のスターはこちら。
最強の敵ウーは見た目とは違いうごきがとても素早く強敵。
瞬間移動したの?って程横の移動が速いので動きを予測してタイミング合わせないとなかなか攻撃が当たりません。
この躍動感あるアクション、やはり「イー・アル・カンフー」は格闘ゲームの元祖ですな。
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