1970年代末から1980年代にかけて発売された家庭用パーソナルコンピュータ。
その中でも特に人気の高かった3つのシリーズがあります。
・NECのPC-8800シリーズ
・SHARPのX1シリーズ
・富士通のFM-7シリーズ
これらの8ビットマシンはビジネス用の16ビットマシンと比較して価格が安く、一般家庭向けとして普及しました。
8ビットパソコン戦国時代ともいえるこのシェア争いのなかに投じられた8ビットパソコンにはどのような8ビットCPUが採用されていたのでしょうか。
NECの8ビットパソコン
8ビットパソコンの中で最後にはPC-8801シリーズが一人勝ち状態となったNECのパソコンたち。
NECの8ビットマシンのCPUは基本的にZ80互換のNEC製「μPD780C-1」でした。
しかし、このNEC製のCPU、実は正式なセカンドソース品ではなく、ザイログ社とのあいだで訴訟となったいわくつきCPUだったのです。
この訴訟、最終的には和解して製造継続の運びとなりましたが、NECとしては他メーカーのように正式にセカンドソース契約をしてから出荷すべきでしたね。
メーカー | シリーズ | 後継機 | CPU | クロック |
NEC | PC-6001 | μPD780C-1 Z80A互換(NEC) |
3.993600MHz | |
PC-6001mkⅡ | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-6001mkⅡSR | μPD780C-1 | 3.58MHz | ||
PC-6601 | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-6601SR | μPD780C-1 | 3.58MHz | ||
PC-8001 | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8001mkⅡ | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8001mkⅡSR | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8801 | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8801mkⅡ | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8801mkⅡSR | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8801mkⅡTR | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8801mkⅡFR | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8801mkⅡMR | μPD780C-1 | 4MHz | ||
PC-8801FH | μPD70008AC-8 Z80A互換(NEC) |
4/8MHz | ||
PC-8801MH | μPD70008AC-8 | 4/8MHz | ||
PC-88VA | μPD9002 V30互換(NEC) |
8MHz | ||
PC-8801FA | μPD70008AC-8 | 4/8MHz | ||
PC-8801MA | μPD70008AC-8 | 4/8MHz | ||
PC-88VA2 | μPD9002 | 8MHz | ||
PC-88VA3 | μPD9002 | 8MHz | ||
PC-8801FE | μPD70008AC-8 | 4/8MHz | ||
PC-8801MA2 | μPD70008AC-8 | 4/8MHz | ||
PC-8801FE2 | μPD70008AC-8 | 4/8MHz | ||
PC-8801MC | μPD70008AC-8 | 4/8MHz |
SHARPの8ビットパソコン
NECが8ビットマシンの人気機種PC-8801シリーズを発売した翌年の1982年11月に登場したのがライバルのSHARPが発売したX1シリーズ。
SHARPにはもうひとつ情報システム事業部のMZというシリーズがありましたが、そことは別の部門、テレビ事業部で開発したのがX1シリーズでした。
X1シリーズで採用したCPUは最初から最後まで変わらずに4MHzクロックで動作するZ80Aでした。
メーカー | シリーズ | 後継機 | CPU | クロック |
SHARP | X1 | Z80A | 4MHz | |
X1C | Z80A | 4MHz | ||
X1D | Z80A | 4MHz | ||
X1Cs | Z80A | 4MHz | ||
X1Ck | Z80A | 4MHz | ||
X1F | Z80A | 4MHz | ||
X1G | Z80A | 4MHz | ||
X1twin | Z80A | 4MHz | ||
X1turbo | Z80A | 4MHz | ||
X1turboⅡ | Z80A | 4MHz | ||
X1turboⅢ | Z80A | 4MHz | ||
X1turboZ | Z80A | 4MHz | ||
X1turboZⅡ | Z80A | 4MHz | ||
X1turboZⅢ | Z80A | 4MHz |
富士通の8ビットパソコン
富士通からもSHARPのX1シリーズと同じ1982年11月に8ビットパソコンが発売されます。
このFM-7の登場で8ビットパソコンの人気機種がNEC、SHARP、富士通と、3つのブランドから選ばれるようになり、後に8ビットパソコン御三家として人気を分けるようになります。
FM-7はFM-8の廉価版という位置付けで商品化されたため、FM-8と同じモトローラ系の8ビットCPUが採用されています。
しかもメインとサブでふたつのCPUを持っており、ハードウェアのスペックとしてはPC-8801やX1シリーズを上回るものでした。
メーカー | シリーズ | 後継機 | CPU | クロック |
富士通 | FM-7 | MBL68B09 MBL68B09 |
4.9/8MHz 4.9/8MHz |
|
FM-NEW7 | MBL68B09 MBL68B09 |
4.9/8MHz 4.9/8MHz |
||
FM-77 | MBL68B09 MBL68B09E |
8MHz 2MHz |
||
FM77AV | MBL68B09E MBL68B09E |
2MHz 2MHz |
共通規格MSXパソコン
パソコンの共通規格であるMSX、マイクロソフトとアスキーにより提唱され各メーカーから規格に沿ったパソコンが販売されました。
MSXシリーズのCPUもザイログ社のZ80A相当品、この時代の8ビットCPUのシェアが殆どZ80で占められていたのがわかります。
メーカー | シリーズ | 後継機 | CPU | クロック |
MSX | Z80A相当 | 3.579545MHz | ||
MSX2 | Z80A相当 | 3.579545MHz | ||
MSX2+ | Z80A相当 | 3.579545MHz |
SHARPのMZシリーズ
SHRAPのもうひとつのシリーズMZ、本当はこちらの方が本家だったのですが、ビジュアル的に映える上にホビー要素の強いX1シリーズの方が人気がありました。
MZシリーズで採用されていたのもZ80系CPU、SHARPはザイログ社とセカンドソース契約を交わしていたので自社製の互換CPU「LH0080A」も採用されています。
また、スーパーMZとして最後に登場したMZ-2500シリーズでは、6MHzクロックで動作するZ80Bが採用され、8ビットマシン最強と呼ばれることになります。
しかし、スーパーMZの登場が1985年と8ビットパソコンシェア争いの末期。
その2年後にはSHARP最強の16ビットホビーパソコン「X68000」が登場し、MZ-2500はマシンスペックの高さとは裏腹に市場では今一つとなってしまいました。
メーカー | シリーズ | 後継機 | CPU | クロック |
SHARP | MZ-80K | Z80 | 2MHz | |
MZ-80C | Z80 | 2MHz | ||
MZ-80K2 | Z80 | 2MHz | ||
MZ-80K2E | Z80 | 2MHz | ||
MZ-1200 | Z80 | 2MHz | ||
MZ-700 | Z80A | 3.579545MHz | ||
MZ-1500 | Z80A | 3.579545MHz | ||
MZ-80B | Z80A | 4MHz | ||
MZ-2000 | LH0080A Z80A互換(SHARP) |
4MHz | ||
MZ-2200 | LH0080A | 4MHz | ||
MZ-2500 | Z80B | 6/4MHz |
その他の8ビットパソコン
メーカーの開発意欲が旺盛だった1980年代前半、御三家のパソコンに挑んでいったものもありました。
バンダイの「RX-78」、人気アニメ機動戦士ガンダムのモビルスーツの型式と同じ機種名を付け、オリジナルゲームソフトもいくつか発売されています。
ソードの「M5」、カシオの「PV-2000」ともにZ80を採用。
コモドールのマックスマシーンは完全にオリジナルスペックで勝負していますが驚くほど低価格で低スペックなマシンでした。
メーカー | シリーズ | 後継機 | CPU | クロック |
バンダイ | RX-78 | LH0080A | 4.1MHz | |
ソード | M5 | Z80 | 3.58MHz | |
カシオ | PV-2000 | Z80 | 3.579MHz | |
コモドール | マックスマシーン | 6510 | 1.02MHz |
ちなみに、「RX-78」はシャープが開発してOEM供給してバンダイから発売されました。
「M5」はソードからOEM供給を受けてタカラから「ゲームパソコンM5」として発売されました。
この他にも「ぴゅう太」という16ビットゲームマシンがトミー(現在のタカラトミー)から発売されています。
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