1970年代末から1980年代にかけて発売された家庭用パーソナルコンピュータ。
その中でも特に人気の高かった3つのシリーズがあります。
・NECのPC-8800シリーズ
・SHARPのX1シリーズ
・富士通のFM-7シリーズ
これらの8ビットマシンはビジネス用の16ビットマシンと比較して価格が安く、一般家庭向けとして普及しました。
SHARP X1シリーズ年表
パソコンテレビとしてシャープのテレビ事業部から発売されたX1シリーズ。
専用のディスプレイテレビには、テレビ画面とパソコン画面の合成ができるスーパーインポーズ機能が使えました。
X1シリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
X1 | CZ-800C | 1982年11月 | 155,000 | 初代機、グラフィックRAM (G-RAM) はオプション |
X1C | CZ-801C | 1983年10月 | 119,800 | 本体・キーボード一体型 |
X1D | CZ-802C | 1983年10月 | 198,000 | 3インチFDD1基搭載 |
X1Cs | CZ-803C | 1984年7月 | 119,800 | X1Cのプロッタプリンタ用スペースに拡張用I/Oポートを2基内蔵 |
X1Ck | CZ-804C | 1984年7月 | 139,800 | X1Csに漢字ROMを搭載 |
X1F model10 | CZ-811C | 1985年7月 | 89,800 | データレコーダー内蔵 |
X1F model20 | CZ-812C | 1985年7月 | 139,800 | 5インチ(2D)FDD×1基内蔵 |
X1G model10 | CZ-820C | 1986年7月 | 69,800 | データレコーダー内蔵 |
X1G model30 | CZ-822C | 1986年7月 | 118,000 | 5インチ(2D)FDD×2基内蔵 |
X1 twin | CZ-830C | 1987年12月 | 99,800 | HE-SYSTEM(PCエンジン)内蔵のハイブリット機 |
X1turboシリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
X1turbo model10 | CZ-850C | 1984年10月 | 168,000 | データレコーダー内蔵 |
X1turbo model20 | CZ-851C | 1984年10月 | 248,000 | 5インチ(2D)FDD×1基内蔵 |
X1turbo model30 | CZ-852C | 1984年10月 | 278,000 | 5インチ(2D)FDD×2基内蔵 |
X1turbo model40 | CZ-862C | 1985年7月 | 258,000 | 5インチ(2D)FDD×2基内蔵 |
X1turboⅡ | CZ-856C | 1985年11月 | 178,000 | X1turbo model30と同仕様の廉価版 |
X1turboⅢ | CZ-870C | 1986年11月 | 168,000 | FDDが2HD/2D両対応になった |
X1turboZシリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
X1turboZ | CZ-880C | 1986年12月 | 218,000 | 8ビット最高峰として発売されたturboZ初代機 |
X1turboZⅡ | CZ-881C-BK | 1987年12月 | 178,000 | RAM64KB追加、New Z-BASIC同梱 |
X1turboZⅢ | CZ-888C-BK | 1988年12月 | 169,800 | X1シリーズ最終機種、turboZⅡの廉価版 |
X1シリーズの最終形態は家庭用ゲーム機のPCエンジンと合体したX1 twinというところが面白い。
なお、SHARPからはファミコンとディスクシステムを一体化した「ツインファミコン」や、ファミコンとテレビを合体した「マイコンピュータテレビC1」なども発売されている。
NEC PC-8801シリーズ年表
NECからはPC-8001やPC-6001、PC-6601など、他にも8ビットパソコンがありましたが、中でも最も人気の高かったのがこのPC-8801シリーズ。
PC-8800シリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
PC-8801 | PC-8801 | 1981年11月 | 228,000 | 初代機 |
PC-8801mkⅡ model10 | PC-8801MK2-10 | 1983年11月 | 168,000 | FDDなし(以降model10/20/30の違いは内蔵FDDによる) |
PC-8801mkⅡ model20 | PC-8801MK2-20 | 1983年11月 | 225,000 | 5インチ(2D)FDD×1基内蔵 |
PC-8801mkⅡ model30 | PC-8801MK2-30 | 1983年11月 | 275,000 | 5インチ(2D)FDD×2基内蔵 |
PC-8801mkⅡSR model10 | PC-8801MK2SR-10 | 1985年1月 | 168,000 | グラフィック機能V2モード、FM音源を搭載 |
PC-8801mkⅡSR model20 | PC-8801MK2SR-20 | 1985年1月 | 213,000 | ↑、5インチ(2D)FDD×1基内蔵 |
PC-8801mkⅡSR model30 | PC-8801MK2SR-30 | 1985年1月 | 258,000 | ↑、5インチ(2D)FDD×2基内蔵 |
PC-8801mkⅡTR | PC-8801MK2TR | 1985年9月 | 288,000 | SR model30にモデム電話追加 |
PC-8801mkⅡFR model10 | PC-8801MK2FR-10 | 1985年11月 | 99,800 | SRの廉価版 |
PC-8801mkⅡFR model20 | PC-8801MK2FR-20 | 1985年11月 | 148,000 | ↑、5インチ(2D)FDD×1基内蔵 |
PC-8801mkⅡFR model30 | PC-8801MK2FR-30 | 1985年11月 | 178,000 | ↑、5インチ(2D)FDD×2基内蔵 |
PC-8801mkⅡMR | PC-8801MK2MR | 1985年11月 | 238,000 | 5インチ(2HD)FDD×2基内蔵、第二水準漢字ROM内蔵 |
PC-8801FH model10 | PC-8801FH-10 | 1986年11月 | 98,000 | FRにクロック周波数切り替え4M/8M追加 |
PC-8801FH model20 | PC-8801FH-20 | 1986年11月 | 138,000 | ↑、5インチ(2D)FDD×1基内蔵 |
PC-8801FH model30 | PC-8801FH-30 | 1986年11月 | 168,000 | ↑、5インチ(2D)FDD×2基内蔵 |
PC-8801MH | PC-8801MH | 1986年11月 | 208,000 | MRにクロック周波数切り替え4M/8M追加、5インチ(2HD)FDD×2基 |
PC-88VA | PC-88VA | 1987年3月 | 298,000 | 16ビット、PCエンジン搭載、2HDドライブ搭載 |
PC-8801FA | PC-8801FA | 1987年10月 | 168,000 | FHにサウンドボード2相当機能搭載 |
PC-8801MA | PC-8801MA | 1987年10月 | 198,000 | MHにサウンドボード2相当機能搭載、2HDドライブ搭載 |
PC-88VA2 | PC-88VA2 | 1988年3月 | 298,000 | VAの88互換性改善、サウンドボード2相当機能搭載、2HDドライブ搭載 |
PC-88VA3 | PC-88VA3 | 1988年3月 | 398,000 | ↑、2TDドライブ搭載 |
PC-8801FE | PC-8801FE | 1988年10月 | 129,000 | FHの廉価版、8MHzHモード追加、TV出力可能 |
PC-8801MA2 | PC-8801MA2 | 1988年10月 | 168,000 | MA後継機、2HDドライブ搭載 |
PC-8801FE2 | PC-8801FE2 | 1989年10月 | 119,000 | FEの後継機、廉価版 |
PC-8801MC model1 | PC-8801MC-1 | 1989年11月 | 169,000 | MA相当の仕様に8MHzHモードを追加、2HDドライブ搭載 |
PC-8801MC model2 | PC-8801MC-2 | 1989年11月 | 199,000 | CD-ROMドライブ搭載 |
PC-98DO | PC-98DO | 1989年6月 | 298,000 | モード切替で98と88を使用可能 |
PC-98DO+ | PC-98DO+ | 1990年10月 | 278,000 | シリーズ最終版 |
PC-8801はNECの8ビットマシンPC-8001の上位互換機として登場。
当初はビジネスユースをターゲットとしていたが、1980年代前半のパーソナルコンピュータブームに乗り、自宅でコンピュータゲームができる家庭用パーソナルコンピュータの先駆けとして高い人気を得ることに成功した機種です。
富士通 FM-7シリーズ年表
高機能でハイエンドなオフィスコンピュータを発売していた富士通からも家庭用8ビットパソコンが登場しています。
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
FM-7 | MB25010 | 1982年11月 | 126,000 | 初代機 |
FM-NEW7 | MB25015 | 1984年5月 | 99,800 | FM-7の廉価モデル |
FM-77D1 | MB25240 | 1984年5月 | 198,000 | 3.5インチFDD1基搭載 |
FM-77D2 | MB25250 | 1984年5月 | 228,000 | 3.5インチFDD2基搭載 |
FM-77L4 | MB25260 | 1985年2月 | 238,000 | 400ラインセットII搭載 |
FM-77L2 | MB25255 | 1985年5月 | 193,000 | FM音源カード搭載 |
FM77AV-1 | FM77AV-1 | 1985年10月 | 128,000 | 3.5インチFDD1基搭載 |
FM77AV-2 | FM77AV-2 | 1985年10月 | 158,000 | 3.5インチFDD2基搭載 |
FM77AV20-1 | FM77AV20-1 | 1986年 | 138,000 | 3.5インチFDD1基搭載 |
FM77AV20-2 | FM77AV20-2 | 1986年 | 168,000 | 3.5インチFDD2基搭載 |
FM77AV40 | FM77AV40 | 1986年 | 228,000 | 3.5インチFDD2基搭載 |
FM77AV20EX | FM77AV20EX | 1987年 | 128,000 | 3.5インチFDD2基搭載 |
FM77AV40EX | FM77AV40EX | 1987年 | 168,000 | 3.5インチFDD2基搭載 |
FM77AV40SX | FM77AV40SX | 1988年11月 | 178,000 | 最終機、FM77AV40EXのマイナーチェンジモデル |
FM-8の廉価版後継機として登場した富士通のFM-7。
ライバルのPC-8801と比較しても価格が安くて高性能ということで、パソコンが一般家庭に普及する一翼を担うことになった。
その後FM-7とは完全上位互換のFM-77へと移行するが、価格帯が上がったため8ビット機のシェア争いでは苦戦する。
1985年代になるとAV志向の強いFM77AVが発売され、当時の8ビット機としては画期的な4096色表示というグラフィクス機能を打ち出します。
最終的にはこのFM77AVシリーズが富士通の8ビット機の最終機種となりました。
SHARP MZシリーズ年表
X1シリーズで人気を博したシャープですが、もうひとつのMZシリーズも忘れてはいけません。
MZシリーズの特徴といえば、プログラムをROMに持たずにRAM領域に読み込んで実行する「クリーンコンピュータ設計」。
本体にキーボード・モニター・データレコーダなどを一体化してオプション品なしですぐに使える「オールインワン設計」。
MZシリーズの始まりは4ビットマイコンのキットということもあり、初代機のMZ-80Kはキーボードが未組立状態のセミキットとして販売されています。
MZ-80Kシリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
MZ-80K | 1978年 | 198,000 | オールインワン・キーボード未組立のセミキット | |
MZ-80C | 1979年 | 268,000 | オールインワン・グリーンディスプレイ | |
MZ-80K2 | 1980年 | 198,000 | MZ-80Kの完成品 | |
MZ-80K2E | 1981年 | 148,000 | MZ-80K2の廉価版 |
MZ-80Bシリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
MZ-80B | 1981年 | 278,000 | MZ-80シリーズハイエンド、320×200ピクセルのグラフィックス画面 |
MZ-1200シリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
MZ-1200 | 1982年7月 | 148,000 | 海外向けMZ-80Aの国内向けモデル・グリーンディスプレイ | |
MZ-700 | MZ-711 | 1982年11月 | 79,800 | モニターを分離し家庭用テレビ出力対応、レコーダなしの基本モデル |
MZ-700 | MZ-721 | 1982年11月 | 89,800 | データレコーダ内蔵 |
MZ-700 | MZ-731 | 1982年11月 | 128,000 | データレコーダ・プロッタプリンタ内蔵 |
MZ-1500 | 1984年5月 | 89,800 | PCG及びPSG搭載、QDドライブ搭載 |
MZ-2000シリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
MZ-80B2 | 1982年 | 278,000 | MZ-80BにグラフィックRAMを追加したバージョン | |
MZ-2000 | 1982年 | 218,000 | オールインワン設計・カセットデッキ内蔵・グリーンディスプレイ | |
MZ-2200 | 1983年 | 128,000 | ディスプレイ分離・グラフィックメモリ標準装備 |
MZ-2500シリーズ年表
機種名 | 型番 | 発売年月 | 価格 | 主な仕様 |
SuperMZ | MZ-2511 | 1985年10月 | 168,000 | 初期モデル、FDD1基搭載 |
SuperMZ | MZ-2521 | 1985年10月 | 198,000 | 初期モデル、FDD2基搭載 |
SuperMZ V2 | MZ-2531 | 1986年10月 | 199,800 | 辞書ROM,増設メインメモリ、TVコントロール、FDD2基搭載 |
SuperMZ V2 | MZ-2520 | 1986年10月 | 159,800 | データレコーダなし、旧機種互換モードなし、FDD2基搭載 |
8ビットパソコンの時代がそろそろ終焉を迎えようとしている1980年代中盤、CPUに6MHzクロックで動作するZ80Bを採用したMZ-2500、通称「SuperMZ(スーパーMZ)」が登場します。
X1turboシリーズやFM77AVなど、8ビットマシンのライバル機と比較しても、劣ることのないそのスペックでゼビウスやレイドックなどのシューティングゲームがハードウェア機能を生かして高レベルな移植作品として発売されました。
しかし、スーパーMZ発売から2年後の1987年に同じSHARPから「X68000」が発売され、8ビットパソコンに時代は終わりを迎えるのでした。
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