1990年に発売された家庭用ゲーム機
家庭用ゲーム業界でいうと、1980年代は任天堂の「ファミコン」が一世を風靡した年代でした。
1983年に登場した「ファミコン」はそれまでの家庭用ゲーム機とは別次元のハードウェア性能とゲームのクオリティの高さでシェア争いの空気を一変させます。
ゲームソフトメーカーも出せば売れるという流れに乗っかり、名作も迷作もクソゲーも次から次へと新作ゲームが発売されます。
このモンスターマシンに対し、エポック社・バンダイ・セガなどがニューマシンを投入して挑みますが歯が立たず。
ようやく1980年代後半に差し掛かり、ハドソンとNECがタッグを組んだ「PCエンジン」が1987年に登場、8ビット機最強のハードウェア性能で、それまで1強だったシェア争いの構図にやっと変化が現れはじめます。
しかし、1980年代後半には、家庭用ゲーム機にも16ビット機が登場しはじめた家庭用パソコンと同じように高性能化の流れが来ます。
セガは8ビットマシン戦争に別れを告げ、1988年に他社に先駆けて家庭用ゲーム機初の16ビットマシンである「メガドライブ」を発売。
これに対して任天堂は「ファミコン」の後継機として、16ビット機の「スーパーファミコン」をこの1990年に発売します。
スーパーファミコン
メーカー:任天堂
発売日:1990年11月21日
価格:25,000円
販売台数:日本/1717万台、世界/4910万台
ソフトウェア発売数:約1447本
代表作品:F-ZERO、スーパーマリオカート、スーパーマリオワールド
ソフト媒体:ROMカートリッジ
CPU:5A22(16bit)
同時発色数:256色
音源:S-DSP+S-SMP(SPC700)
家庭用ゲーム機の大ブームを引き起こした任天堂「ファミコン」の後継機として1990年に登場した「スーパーファミコン」。
「PCエンジン」や「メガドライブ」といった次世代マシンを各社が投入する中、任天堂が満を持して投入したファミコンの後継機。
任天堂は先発していたセガ「メガドライブ」から2年遅れて16ビット機を市場に投入することに。
「メガドライブ」が採用した16ビットCPUはアーケードゲームでも実績のあった「MC68000」。
対して「スーパーファミコン」が採用した16ビットCPUはファミコンで採用していた「6502(8bit)」の上位互換にあたる「W65802」互換のカスタムCPU「5A22」。
「スーパーファミコン」は開発当初「ファミコン」と互換性を持たせる構想もあったが、結果的には「ファミコン」と互換性はありませんでした。
こうして生まれた「スーパーファミコン」は、ユーザーの期待と裏腹に、セガ「メガドライブ」と比べて性能的に物足りない16ビット機ではありました。
しかし、ファミコンソフトを供給していた多くのゲームソフトメーカーがスーファミへそのまま参入し、新ハードながらユーザーの期待が膨らむゲームマシンとして登場することになりました。
そしてドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったファミコン世代からの人気シリーズの存在にも助けられ、遅れを取った8ビット機から16ビット機への世代交代レースで見事にシェアを回復していきます。
その結果、1990年の登場から1998年までの8年間で、ファミコンの1053タイトルを上回る、延べ1400本以上のゲームソフトが発売される人気ゲーム機になりました。
スーパーファミコンで発売された主なタイトル
【スーパーマリオワールド】
メーカー:任天堂
発売日:1990年11月21日
ジャンル:アクション
「F-ZERO」とともにスーパーファミコンの初期売り上げに貢献したローンチタイトル。
マリオシリーズにヨッシーがはじめて登場した作品。
画面が高精細になりマントマリオが登場してアクションも豊富になった。
日本国内では355万本、全世界で2061万本も売り上げたスーパーファミコンで一番入れたタイトル。
【F-ZERO】
メーカー:任天堂
発売日:1990年11月21日
ジャンル:レーシング
スーパーファミコン登場に合わせて発売された任天堂のローンチタイトル。
その後シリーズ化された疑似3Dのレーシングゲーム初代作品。
スーパーファミコンの新機能「回転・拡大・縮小表示機能」を全面的に使い、緻密な3D表現を再現した。
【星のカービィ スーパーデラックス】
メーカー:任天堂
発売日:1996年3月21日
ジャンル:アクション
任天堂を代表する人気アクションゲーム「星のカービィ」シリーズの第7作品目に当たる。
この作品は歴代のカービィシリーズの中でも名作と言われている。
カービィは吸い込んだ敵の能力をコピーできるが、この作品ではコピー元として登場した敵キャラを味方にすることができる。
ヘルパーとして味方になり、カービィと違う技を使えたり、お互いに回復アイテムを分け合えたりといったアクションもある。
グルメレースや刹那の見切りなどのミニゲームも収録されていたり、豊富にあるモードを選んでいつまでも飽きずに遊べる作品となっている。
【スーパードンキーコング】
メーカー:任天堂
発売日:1994年11月26日
ジャンル:アクション
任天堂を代表するアーケードゲームのキャラクター「ドンキーコング」が活躍する横スクロールアクションゲーム。
日本国内で300万本、全世界では930問本も売れた人気作品。
悪役だったドンキーコングを主役に抜擢し、スーパーファミコンとは思えない美麗なグラフィックで良い意味で驚かされた。
拳をついて走る姿や、ターザンロープで移動したりとコングらしいアクション。
コングに協力してくれる動物も個性豊かでアクションも豊富。動きも滑らかでコミカルで動きを見ているだけでも楽しくなる。
ステージ構成も多彩で飽きないつくり、難易度のバランスもとてもいい秀作です。
【伝説のオウガバトル】
メーカー:クエスト
発売日:1993年3月12日
ジャンル:シミュレーションRPG
任天堂ゲーム機で人気作品となった「オウガバトル」シリーズの第1作目。
ゲーム内でも時間がリアルタイムに経過していくリアルタイムストラテジーシミュレーションRPG。
キャンペーン型の戦術/戦略級リアルタイムシミュレーションゲームともいわれ、それまでとは違う新しいジャンルを確立した。
美しいグラフィックやキャラクターデザイン、斬新なゲームシステムで人気のシリーズとなった。
【タクティクスオウガ】
メーカー:クエスト
発売日:1995年10月6日
ジャンル:シミュレーションRPG
「伝説のオウガバトル」に続くオウガシリーズの第2作。
前作を上回る美麗なグラフィックでいまだにファンが多い名作シミュレーションのひとつだ。
ストーリー展開もよく練られており、プレイヤーの選択によりエンディングが変化していく。
マップでは高さの概念が導入され、地形によって有利不利が変化するし、ユニットの相性も考慮して行動しなければならない。
順番が来たらマップ上で地形や相性を考え、敵の動きを先読みしながら動けば有利に進めることもできる。
【ストリートファイターⅡ】
メーカー:カプコン
発売日:1992年6月10日
ジャンル:格闘ゲーム
カプコンを、日本を代表する格闘ゲームの人気シリーズのアーケードゲームからの移植版。
「ストⅡ」は世界中に格闘ゲームブームを起こした立役者、シリーズは今でも続いています。
スーパーファミコン版「ストⅡ」は国内販売288万本のスーファミ販売本数ランキング第5位。
全世界では630万本を売り上げた。
「ストリートファイターⅡ」になり、使用できるキャラクタを8人に増やし、世界中を巡って戦えるようになった。
多彩な必殺技と対人プレイの駆け引きによる楽しさに世界中の格闘ゲーム好きが魅了された。
【Pop’nツインビー】
メーカー:コナミ
発売日:1993年3月26日
ジャンル:シューティング
コナミの人気縦スクロールシューティング「ツインビー」のシリーズ作品第6作目。
ツインビーはこれがスーパーファミコンに初登場だった。
敵の攻撃をツインビーに偏らせるカップルモードもあり、初心者と一緒に遊ぶための工夫も導入されている。
また、残機ではなくライフ制になっており残りライフを分け合うこともできる。
地上の敵を8体倒すとライフ回復のハートが出現するので初心者は地上中心に攻撃するとより生き残れる。
ちびぶんしんやパンチなど、シューティングらしからぬアクションも追加された。
【R-TYPEⅢ】
メーカー:アイレム
発売日:1993年12月10日
ジャンル:シューティング
アイレムの人気シューティングゲーム「R-TYPE」のスーパーファミコン向け作品「R-TYPEⅢ」。
基本的なゲームシステムは「R-TYPE」を踏襲しているが、フォースが2種類になったり、波動砲が2段階になっていたり、スーパーファミコンの性能を生かした装備が追加になっている。
アイレムを代表する横スクロールシューティングをスーパーファミコン用にアレンジした作品となった。
【第4次スーパーロボット大戦】
メーカー:バンプレスト
発売日:1995年3月17日
ジャンル:シミュレーションRPG
ファミコンで登場した「第2次スーパーロボット大戦」、通称「スパロボ」のシリーズ作品。
スーパーファミコンでは「第3次スーパーロボット大戦」「スーパーロボット大戦EX」。
そしてこの「第4次スーパーロボット大戦」、さらに「スーパーロボット大戦外伝 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL」というスピンオフ作品の合計4作品が発売されている。
「第4次・・・」はシリーズ第5作。
ダンクーガ・ゴーショーグン・ダイターン・ゲッターロボなどのスーパーロボット。
ガンダム・ダンバイン・エルガイムなどのサンライズ作品のリアルロボットが力を合わせてシナリオを攻略していく。
家庭用ゲーム機のほぼ全てのプットフォームで発売されている超人気作だ。
【スーパーマリオカート】
メーカー:任天堂
発売日:1992年8月27日
ジャンル:レーシング
任天堂を代表するゲームのひとつ「マリオカート」のシリーズ第1作。
日本国内でのスーパーファミコン用ソフトでは最高売り上げを記録した作品。
国内では382万本、全世界で876万本のセールスを記録している。
ゲーム内容は、マリオシリーズのキャラクター達がカートでレース&バトルするゲームで、アイテムや障害物がレースをおもしろくする。
スーパーファミコンではじまったこのシリーズは、「NINTENDO64」「ゲームボーイアドバンス」「ゲームキューブ」「DS」「Wii」「3DS」「Wii U」「Nintendo Switch]と合計9つのプラットフォームで発売されている。
ちなみに最新のSwitch版は9つ目の作品だが「マリオカート9」ではなく「マリオカート8デラックス」となっている。
家庭用ゲーム機からアーケード版への逆移植「マリオカートアーケードグランプリ」はアーケード筐体となってゲームセンターでも稼働している。
【超魔界村】
メーカー:カプコン
発売日:1991年10月4日
ジャンル:アクション
カプコンの大人気アクションゲーム「魔界村」のシリーズ作品。
「大魔界村」の続編でスーパーファミコン用に開発された超高難易度を誇る「超魔界村」。
全世界で109万本のセールスを記録したヒット作だ。
【アラジン】
メーカー:カプコン
発売日:1993年11月26日
ジャンル:アクション
ディズニー映画「アラジン」をアクションゲームにした話題作。
美しいグラフィックと多彩でテンポよく進むアクションはさすがカプコン。
ゲームの基本システムは横スクロールのジャンプ系アクションゲーム。
敵を踏みつけたり、リンゴを投げつけたりして倒しながら進みます。
棒にぶら下がり勢いをつけてジャンプするなどの多彩なアクションがぬるぬると滑らかな動きで再現されています。
一緒についてきてくれるパートナーのアブーがかわいい、サクサク進めるアクションゲームです。
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ハードウェアの進化により、ファミコン世代では実現できなかったような新しいジャンルのゲームもたくさん生まれてきました。
こうしてスーパーファミコンはファミコンユーザーを受け継ぎ。
新たなユーザーも取り込んで、登場から約8年もの間、家庭用ゲーム機のトップシェアマシンに君臨し続けたのです。
Nintendo ゲーム機本体 ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン
ゲームギア
メーカー:セガ
発売日:1990年10月6日
価格:19,800円
販売台数:日本/178万台、世界/1043万台
ソフトウェア発売数:日本/196本、世界/393本
代表作品:コラムス、Gソニック、ソニック・ザ・ヘッジホッグ、ぷよぷよ
ソフト媒体:ROMカートリッジ
CPU:Z80A(8bit)
同時発色数:32色
音源:PSG3+ノイズ1
携帯型ゲーム機として、任天堂「ゲームボーイ」に対抗してセガが発売した「ゲームギア」。
画面にはカラー液晶を採用し、ゲームボーイとの差別化を図るも、電池の数が多いうえに消耗が激しいこともあり携帯ゲーム機としてはあまり重宝されなかった。
別売りのテレビチューナーパックを接続するとアナログテレビ放送を見ることができたので、実際には屋外よりも室内でACアダプタを使用して遊ばれることが多かったのではないかと思います。
セールスとしては国内で178万台を売り上げたものの、ライバル「ゲームボーイ」の国内販売3247万台の足元にも及ばず。
性能で劣るライバル機にコンセプトで完全敗北した形となりました。
ゲームギアで発売された主なタイトル
【コラムス】
メーカー:セガ
発売日:1990年10月6日
ジャンル:落ち物パズル
「テトリス」とともに人気の高い落ち物パズルの代表格の「コラムス」。
販権上の理由からテトリスをメガドライブに移植できなかったセガは、当時人気の高かった落ち物パズルのジャンルで新たなゲームを新たに開発してアーケードゲームのリリースとほぼ同時にメガドライブへと展開した。
その直後に携帯ゲーム機「ゲームギア」へも移植して販売。
ゲームは落ちてくる宝石を位置を回転させながら落下させ、同じ宝石を縦横斜めに3個以上揃えると消すことができるという単純なもの。
ビジュアルの美しさもあり女性にも受け入れられた。
【アラジン】
メーカー:カプコン
発売日:1994年3月25日
ジャンル:アクション
【ファンタジーゾーンGear オパオパJr.の冒険】
メーカー:セガ
発売日:1991年7月19日
ジャンル:シューティング
セガの人気シューティングゲーム「ファンタジーゾーン」のシリーズ作品。
ファンタジーゾーンはフィールド内を左右に自由に動き回ることができる珍しいタイプのシューティングゲーム。
敵を倒したときにあらわれるコインを集めてショップで買い物もできる。
パステル調のグラフィックとカラーがかわいいシューティングゲームの異色作。
【ワギャンランド】
メーカー:ナムコ
発売日:1991年7月26日
ジャンル:アクションゲーム
ナムコがファミコン版として発売したアクションゲームの移植版。
恐竜とロボットを合わせたようなキャラクタ「ワギャン」を操作する横スクロールアクション。
アクションはジャンプと音波攻撃。ボスキャラとの対戦はミニゲーム。
【スペースハリアー】
メーカー:セガ
発売日:1991年12月28日
ジャンル:疑似3Dシューティング
アーケードで大人気だった「体感ゲーム」シリーズの移植版。
セガを代表するタイトルで家庭用ゲーム機にとどまらず家庭用パソコンまで幅広く移植された。
ゲームギア版はゼガ・マークⅢ版からの移植作。
画面サイズの違いなどから完全な移植ではなかった。
【ソニック&テイルス】
メーカー:セガ
発売日:1993年11月19日
ジャンル:アクション
セガ「ソニックシリーズ」のひとつでゲームギア専用のオリジナル作品。
ソニックの相棒テイルスが登場してキャラクタを選択して遊べる。
スピードの速いソニックか、バランスのいいテイルスか、テイルスは扱いやすいので初心者でもプレイしやすい。
ただし、スペシャルステージにはソニックでしか行くことができない。
真のエンディングをみるならソニックを選ばないといけないわけです。
【ソニック・ザ・ヘッジホッグ】
メーカー:セガ
発売日:1991年12月28日
ジャンル:アクション
セガの人気タイトル「ソニック・ザ・ヘッジホック」のゲームギア版はスペースハリアーと同日発売だった。
8ビット機への移植はマスターシステム版からの移植作で本家メガドライブ版とは内容が大きく異なる。
翌年には「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」もマスターシステムからの移植作で登場している。
【ぎゅわんぶらあ自己中心派】
メーカー:セガ
発売日:1992年6月12日
ジャンル:テーブルゲーム
同名タイトルの漫画から派生したゲームでパソコン版としてゲームアーツが発売していた。
人気タイトルだったが、携帯ゲーム機向けはこのゲームギア版のみ。
個性豊かなキャラクタが卓を囲んで麻雀を楽しむ。
【ソニックドリフト】
メーカー:セガ
発売日:1994年3月18日
ジャンル:レーシング
ソニックがドライバーとなるゲームギア専用のレーシングゲーム。
1,2ボタンを同時押ししながらステアリングを切るとドリフトできる。
登場キャラクタはソニック・テイルス・ドクターエッグマン・エイミーの4種。
キャラクタごとにマシン性能が異なる。
【SDガンダム WINNER’S HISTORY】
メーカー:バンダイ
発売日:1995年3月24日
ジャンル:ウォー・シミュレーション
ゲームギア専用に開発されたバンダイのSDガンダムシリーズ作品。
ファミコンで発売されていた「SDガンダムワールド ガチャポン戦士」とよく似たゲーム内容。
登場作品はファーストからGガンダムまで、OVAも含めた9作品となっている。
PCエンジンGT
メーカー:NECホームエレクトロニクス
発売日:1990年12月1日
価格:44,800円
ソフトウェア発売数:PCエンジンのソフトと共通
任天堂「ゲームボーイ」に対抗して発売した「PCエンジン」の携帯型ゲーム機。
「PCエンジン」シリーズのひとつで、世界初の据え置き型ゲーム機互換の携帯ゲーム機。
画面はモノクロではなくカラー液晶を採用。
ゲームギアのSTN液晶よりもきれいなTFT液晶を採用し、その分本体価格は高くなった。
また、セガ「ゲームギア」と同じように、TVチューナーユニットをつけるとアナログテレビ放送を受信できるように。
バックライト付きのカラー液晶は、ゲームギアと同じように携帯機としては電池の消耗が激しすぎたため、乾電池では3時間程度しか遊べなかった。
SF1
メーカー:シャープ
発売日:1990年12月5日
価格:14型/10万円、21型/13万3千円
ファミコンで内蔵テレビを発売したように、スーパーファミコンを内蔵したブラウン管テレビをシャープが発売。
テレビ画面の上にゲームカセット差し込みのスロットがある。
スーパーファミコンとは内部でS端子接続されており、画質はとても鮮明であった。
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